ちちや
乳屋 〜 Latteria della mamma ~
文:的川 英嗣
絵:ねっこかなこ
による
ナンセンス絵本
若い娘がおりました
朝日を待っておりました
クルミをかばんに忍ばせて
ぽつり、しゃがんでおりました
娘は女になりました
一夜で立派になりました
女と男を一人づつ
馬屋でこっそり産みました
女は乳屋になりました
いつも溢れておりました
自慢の乳はたわたわと命を育てておりました
乳屋は年をとりました
子供も遠くへ行きました
すたれた屋台をひきずって
しょんぼり生きておりました
乳屋は陽気にぼけました
朝日を眺めておりました
それでも溢れ出る乳を
夜ごと小瓶に詰めました
おわり